腎臓

腎臓の解剖学
腎臓の解剖学

 

目次

基本データ

腎臓の位置

腎臓の構造

腎臓の血管

腎臓の機能

腎臓の固定に関与するもの

神経支配

腎臓の運動

 

 

基本データ

 

重さ:約100g

大きさ:縦10~12cm、横5~7cm、厚さ3cm

形状:そら豆形

 

 

腎臓の位置

左腎

・前面

上端:第9肋骨

下端:臍の1~2cm上方

・後面

T11~L3

 

 

右腎

・前面

上端:第9肋骨

下端:臍の高さ

・後面

左腎よりも1~1.5cm低い

(2分の1腰椎分低い)

これは上方に肝臓があるため

 

 


腎臓の構造

 

(1)肉眼的構造

腎門

内側中央部のへこみ

腎静脈、腎動脈、尿管が出入りする

腎皮質

暗赤色

腎錐体の線条がいくつかの束に分かれ皮質に入り、髄放線となる

髄放線以外の皮質は皮質迷路という

腎髄質

蒼白色

8~12個の腎錐体の集まり

腎錐体に入り込んできた皮質迷路を腎柱という

腎錐体の先端は丸みを帯びて内側に向かって突出し、腎乳頭をつくる

腎乳頭は杯形をした袋に包まれ腎杯という

腎杯は集まって腎盂となり腎門で尿管に移行する

 

 

 

(2)腎小体と尿細管でネフロン

腎小体

腎臓を作る主な構成要素

皮質に存在する直径約0.2mmの球体

一つの腎臓に約100万個

糸球体

腎小体の構成要素

毛細血管が糸球状に集まったもの

ボウマン嚢

糸球体を包む薄い袋

尿細管

ボウマン嚢の一端から始まる

皮質と髄質の間を走行

近位尿細管、ヘンレループ、遠位尿細管に分けられる

集合管

尿細管が集まり作られる

腎乳頭の先端で腎杯に開く

 

 

腎臓の血管

 

(1)血管の走行

腎動脈→葉間動脈→弓状動脈→小葉間動脈→輸入細動脈→糸球体→輸出細動脈→尿細管周囲の毛細血管→小葉間静脈→弓状静脈→腎静脈

 

 

(2)血管のろ過機能

ろ過膜:糸球体内皮、基底膜、足細胞突起

・糸球体内皮

糸球体をつくる毛細血管の内皮細胞には小さな穴が存在する

・基底膜

糸球体内皮細胞を取り巻くように基底膜が取り巻く

・足細胞突起

基底膜を取り囲むのが足細胞

向かい合う突起はあ外に組み合い狭い隙間を作る

・ろ過の過程

糸球体を流れる血漿成分は、内皮細胞の穴・基底膜の網目・足細胞の突起間の3つの細かい隙間に血圧によって押されろ過される。

 

 

(3)傍糸球体装置

・緻密班

背の高い細胞

遠位尿細管を流れる尿を常にチェックする

・傍糸球体細胞

輸入細動脈から分化した細胞

レニン放出細胞

尿の電解質濃度が濃いと血圧を上昇させ原尿の生産を増やす

 

 

腎臓の機能

 

・体液と電解質の調整

 

・酸塩基平衡の調節

 

・尿を通じて物質や異物の排泄

尿素、クレアチニン、尿酸、薬物

 

・血圧の調節

レニンーアンギオテンシンーアルドステロン系

 

・ホルモンの産生

エリスオポエチン、レニン、カルシトリオール、プロスタグランジン

 

・ペプチドホルモンの分解

 

 

腎臓の固定に関与するもの

 

・ツルゴール

・他の臓器の圧

・腹筋群の緊張

・脂肪被膜

・腎門にある脈管と尿管

・呼吸時の胸部の吸引効果と腹筋群の緊張

 

 

腎臓の神経支配

 

・副交感神経

腹腔神経叢経由の迷走神経

仙髄副交感神経S2~S4が、上下腹神経叢を経由して腎神経叢

 

・交感神経

T10~L1が小内臓神経と最下内臓神経を経由し、第1・2腰内臓神経を経由し、腹腔神経叢、大動脈腎神経節、腎神経叢、後腎神経節に至る

 

 

腎臓の運動学

 

・吸気時

横隔膜によって3~4cm後方に移動する

腰筋の影響で上端は前に押し出される

外側に移動し、外旋も入る

 

・呼気時

内旋かつ内側に向かう