筋膜は、様々な器官を包み込んでいる。
臓器・筋線維・筋群・神経・骨を包みこんでいて、また各々を結びつけている。
連続した筋膜の網の目を筋膜ネットワークと呼ぶ。
このネットワークは、頭の先からつま先まで身体を一つに繋いでいる。
存在する場所や形によって名称などが変わってくるものも多いが、結合組織として役割が類似していたり、連続したネットワークを形成していることも多い。
また多くの研究者によって筋膜の連続性の重要性が示され、また研究も盛んになってきている。
筋膜ネットワークの役割として特に筋を包むものは収縮力を腱や骨に伝える役割を担う。
筋肉が力を発揮(収縮)し、力が筋膜のネットワークを通して骨に伝えることで関節は動く事が出来る。
人の身体が動くときは一つの筋肉が収縮して起こる単一の運動という見方をするよりは、筋膜のネットワーク上で複数の筋肉がかかわった結果おこる運動、という見方をしたほうが筋膜を理解しやすい。
肩関節の前方挙上は、上腕二頭筋や三角筋などの肩関節屈筋群のみが働くのではなく、筋膜の連結がある肩関節伸筋群の上腕三頭筋や、広背筋などの働きがあって肩関節の前方挙上が起きている。
筋膜のネットワークは筋収縮の力を伝えるだけでなく張力を伝えることができる。
筋膜の細胞同士は、特殊なたんぱく質によって結びつけられている。
このたんぱく質をインテグリンと言い、連結はインテグリン結合と呼ぶ。
インテグリンは細胞の中まで入り込んでいるので、細胞の中まで張力の情報を送ることができる。
細胞は張力によって多くの影響を受ける。
細胞の種類によっては張力がかかっていた方が良かったり、逆に張力がかかっていないほうが良かったり様々。
またこの張力が、圧電気と呼ばれるイオンの流れを生み出す事がある。
このイオンの流れも筋膜のネットワークに情報がつたえる。
この電気の流れは細胞に影響を与えて、細胞分裂を促す。