筋膜は無視されてきた

 

現代の医学では、局所の筋肉や骨、内臓など個々の器官を研究するために無視されてきた存在。

 

個々の臓器を綺麗に取り出すためには邪魔なものでしかなった。

 

これは、数えられたり、ここに名前をつけて固有のものとして扱うことに苦労するからである。

 

さらは個人差があり、筋膜自体があったりなかったり、厚くなっていたり不完全なものとしての印象があった。

 

また画像診断もなかなか難しいものであった。

 

最近になって技術の進歩により、研究の対象になってきている。

 

筋・筋膜という新しい視点

 

マニュアルセラピーを行うセラピストは、人の身体を作っているもの(筋や骨、靭帯、ときには内臓など)と人の身体の動き(立っている姿勢、歩く姿勢など)に対して自分の手を使って施術を行う。

 

人の身体の動きを全体的に見ていくために、解剖学書にみる単一の機能を持つ、一つの筋や関節・靭帯を見ていくだけでは足りないのかもしれない。

 

様々な筋や関節、その他器官や組織が連動し、人が行う運動や姿勢を行っている。

 

日々の姿勢や動きが原因で痛みや、色々な問題が起きた時に筋膜の概念は、非常に役立つ物になるはずである。

 

患者の痛みは何から来るものか考えた時に、筋膜を治療対象にした時、よりよい結果が目の前に現われた。

 

筋膜に施術を行うためには、新しいタッチと知識が必要になる。

 

神経や筋を理解することが必要だが、さらに、筋膜の概念をプラスすることで患者の症状をもっと深く知ることができる。

 

筋・筋膜の知識を取り入れる

 

筋膜が治療の機序の中心であるのは、鍼灸やマッサージ、ロルフィング、カイロプラティック、オステオパシーなど、さまざな代替医療においてで、

 

とくに鍼灸治療に重要な経絡の概念は、アナトミートレインと呼ばれる筋膜経線の概念と一致することが非常に多い。

 

また、経穴は筋・筋膜性疼痛症候群におけるトリガーポイントと呼ばれる圧痛点との一致もあると言われている。

 

カイロプラティックでは脊椎の調節などをして機能異常を治療していく。

 

脊椎を調節することで脊柱管の中、つまり硬膜の調節をおこなっている面もある。

 

作用機序にはまだ明らかにされている部分は多くないですが、臨床での結果から考察すると筋膜の治療が大いに痛みの治療に役立つ。

 

自分は何を治療しているのか、

 

筋なのか、筋膜なのか、靭帯なのか、骨なのか

 

これをはっきりとさせるだけでも筋膜を理解することは重要と言えるかもしれない。