肩甲帯の筋・筋膜

目次

鎖骨周囲筋

肩甲骨周囲筋

肩甲骨のずれと頭部のずれ

鎖骨周囲筋

 

鎖骨は三つの筋で体幹に結合している。

 

鎖骨下筋、僧帽筋上部線維、胸鎖乳突筋鎖骨頭

 

胸鎖乳突筋

 

胸鎖乳突筋は鎖骨の肩甲帯における鎖骨の位置関係にほとんど関与していない。

 

胸鎖乳突筋:筋データ

 

 

僧帽筋上部線維

 

鎖骨の遠位部に停止。

 

鎖骨の前縁を持ち上げ、肩をすくめる動作に関与する。

 

緊張が高いと、鎖骨がV字状に持ち上がるような位置関係をとる。

 

また頭部を前方に引っ張る。

 

僧帽筋:筋データ

 

鎖骨下筋

 

鎖骨の下制と胸鎖関節の補強の役割があり、靱帯のような筋。

 

胸鎖関節の横方向の動きを出すのも担う。

 

鎖骨下筋の緊張や伸張性の低下で上肢の外転時、肩甲骨が持ち上がるよな動きが出てしま

う。

 

反対に筋が緩んでしまうと、肩甲骨周囲の筋が代償的に緊張を起こす。

 

 

肩甲骨周囲筋

 

肩甲骨を体幹に固定する筋はXのような形をとる。

 

肩甲骨は内側縁が棘突起に並行で、肋骨と同じ角度にあり、横から見て垂直に位置している状態が理想的。

 

X時を形成するのは菱形筋と前鋸筋。

 

 

菱形筋

 

肩甲骨内側縁を下部頸椎と上部胸椎の棘突起に結び付け、肩甲骨内側縁を内側かつ上方にひきつける。

 

菱形筋:筋データ

 

 

前鋸筋

 

肩甲骨内側縁を外側の肋骨に結びつける筋。

 

肩甲骨内側縁を外側の肋骨に向かって外側かつ下方にひきつける。

 

前鋸筋:筋データ

 

 

僧帽筋下部線維

 

肩甲骨の内側縁を下方かつ、内側方向にひきつける。

 

僧帽筋:筋データ

 

 

広背筋

 

肩甲骨下角に筋膜的な連結があることがある。

 

僧帽筋下部線維の補助を担う。

 

広背筋:筋データ

 

 

小胸筋

 

第2肋骨~5肋骨から烏口突起に付着する。

 

前方から肩甲骨を下かつ内側にひきつける。

 

小胸筋:筋データ

 

 

肩甲挙筋

 

上角から上部頸椎の横突起に付着。

 

肩甲挙筋:筋データ

 

 

肩甲骨のずれと頭部のずれの関係

 

二つの筋は、肩甲骨が肋骨から浮くために、つり革のような役目をしている。

 

肩甲骨が下方に落ちて外側にずれている場合、前鋸筋が短縮し菱形筋が伸長している。この状態は、胸椎の後弯が強くなりやすく円背姿勢になりやすい。

 

菱形筋が短縮すると前鋸筋が伸長し、肩甲骨は上方に上がって内側方向にずれている。このパターンは、胸椎のカーブが減少し平背姿勢をとる。

 

また、菱形筋と前鋸筋どちらも短縮傾向になる場合がある。

 

この状態のときは、肩甲骨が上方に持ち上がり、肩甲帯全体が小さく見える。

 

これはスパイラルラインを全体的に見て治療を行う必要がある。

 

小胸筋は短縮傾向にあることが多く、肩の屈曲制限や呼吸に悪影響を及ぼす。

 

肩甲骨は、胸郭から持ち上げずらくなっていしまいやすい。

 

僧帽筋下部線維を引き締めて、小胸筋を伸ばすことが重要。

 

肩甲挙筋は停止部に問題が起きやすい。

 

頭部の位置や動きに左右される。

 

首がまっすぐで胸郭の上でバランスをとっているなら、頭板状筋や胸鎖乳突筋によって首の回旋動作が起こる。

 

しかし、頭部が前方に変位していると、板状筋と胸鎖乳突筋がうまく作用せず、肩のほかの筋で動きを代償するため、問題が起きてくる。

 

これが、首や肩の負担になる。

 

胸鎖乳突筋の代償は、僧帽筋の上部線維が行う。

 

また、頭部の前方変位において肩甲挙筋が前方変位を固定する筋となるため、持続的負担により本来の肩甲骨の挙上には働きづらくなる。