治療の原則

・普段の治療について

 一時的な効果しか出せない治療の繰り返しは治療の進行を妨げ何のための治療か明確性がなくなっていく。

 患者自身も毎週、あるいは二日に一回と一定の間隔でさも当たり前のことのような感覚になる。

 こうならないためには患者との治療関係が始まった段階から解決すべき課題を相方がしっかり把握し、

 ステップを作成し治療関係を進めていくことが重要になる。

 

・治療の原則

 ⒈適切な刺激量

 ⒉適切な刺激の頻度

 ⒊患者自身が行える適切な刺激を入れる方法

 この三つを意識することで明確な治療を行い、患者自身も自分の状態を把握できていく。

 

・適切な刺激量は適切な評価が必要

 適切な刺激量とは、患者の症状が変化するまたは改善する刺激のこととする。

 また適切な刺激量が見つかったとしても、患者の症状が変化しないことも多い。

 

 治療直後は患者の症状は変化し、患者自身も実感し治るものだと思い帰路に着く。

 

 しかし次回の来院の際に患者は「まだ痛いよ」や「全然よくなってないよ」と言うことが多い。

 ここで問題なのは、前回の治療でどのくらい治療の効果が持続していたか。

 ある程度の持続があったのなら、前回と同様の治療手技を選択すればいいし

 持続が見られない場合はより効果が出るような刺激の量にして行くことを考える。

  

 効果が消失する前に今用いている治療を繰り返すか

 前回行った治療(適切な刺激量と思った手技)が本当に価値がある治療手技か見極めるためにも

 もう一度同じことを行ったみることも重要になってくる。

 実際に同じことを行う場合はしっかりとしたインフォームドコンセントを行う。

 

 ただし、結果が見えている場合同じことをしなくてよい。

 (結果が見えているというのは、同じ治療をしても改善等の変化が見られないこと)

 

・治療の刺激を変える場合

 セラピストの選択肢としては、治療時間を増やす・治療頻度を上げる・さらなる手技を増やす

 の三つがあるがこれらは患者やセラピストの負担が多くなる場合がほとんどである。

 

 そもそも患者が自分の身体を他人に治してもらうという行動こそが普通でないことであり、

 この選択肢はこの行動を強化する側面がある。

 

 セラピスト自身もこの選択によって時間・労力が奪われてしまう。

 

・リーズニングエラー

 新たな適切な刺激量を探すのは現在用いている手技が患者にとって相対的にベストな治療の可能性もあるため

 この段階でのあきらめは早い可能性がある。

 

 刺激の価値がないと判断できるまで現在の治療にこだわることは非常に重要なことである。

 

・患者自身が行える刺激を入れる方法

 セラピストが行った適切な刺激をいれた治療と同等なことを患者自身ができるかで予後が大きく変わってくる。

 次の治療までに同じような痛みがあるということに患者が出くわすことも多いと思う。

 適切な刺激量が見つかった後はセラピストが行う治療と同等の効果を出せる自己療法をいっしょに探す事も

 セラピストの仕事である。

 

 患者自身にしっかりと自分の身体に対する責任を持ってもらいその補助をセラピストがになっているということを

 忘れてはいけない。

 

クリ二カルリーズニングは疼痛の原因組織を探していくことや治療手技を選択するためのフローチャートに従うだけのものではない。